<まる見えリポート>パリ五輪閉幕 杉野、藤波が「金」 地元沸かせた県勢

男子団体総合決勝 杉野正尭のあん馬=パリで(共同)

7月末からフランスで行われてきたパリ五輪が閉幕する。日本は海外で行われる夏季五輪としては史上最多の409人の選手団を編成し、10日までに、海外開催で最多だったアテネ五輪の16個を上回る18個の金メダルを獲得、メダル総数も43個となり、過去最多だったリオデジャネイロ五輪の41個を上回った。三重県内からも、海外開催の五輪としては過去最多の14人(県まとめ)が日本代表に選ばれ、大会期間中、県内を盛り上げた。

 県勢第1号となる金メダルを獲得したのは、体操の男子団体に出場した津市出身の杉野正尭選手(25)=徳洲会体操クラブ=だった。7月29日の男子団体総合決勝で、五輪初出場ながら得意のあん馬で全体2位の高得点をマークし、日本の2大会ぶりの優勝に貢献した。

女子53㌔級決勝 エクアドル選手を攻める藤波朱理=パリで(共同)

今月9日には女子レスリング53キロ級に初出場した四日市市出身の藤波朱理選手(20)=日体大=が初優勝した。西朝明中2年時から続く公式戦の不敗記録を137に更新。県レスリング勢としても、津市出身の吉田沙保里さんが女子55キロ級で初優勝したアテネ五輪から6大会連続五輪制覇の快挙となった。

東京五輪の代表組も躍動した。フェンシング男子エペ団体に出場した鳥羽市出身の山田優選手(30)=山一商事=は、金メダルを獲得した東京五輪に続いて同種目で決勝に進出。惜しくも優勝を逃したが銀メダルを獲得した。

メダルこそ逃したが、松阪市出身の川端魁人選手(25)=中京大クラブ=は2大会連続で挑んだ陸上競技男子1600メートルリレーで日本勢20年ぶりの決勝進出に貢献。予選で日本記録を更新、決勝でアジア記録を更新して6位入賞した。

ほぼ全員が小学時代には競技を始めていた。山田選手はフェンシングの元国体選手だった元県職員の鈴木満さんが立ち上げた鳥羽フェンシングクラブの出身。藤波選手はいなべ総合学園高校レスリング部監督の父・俊一さん主宰のレスリング教室で4歳から競技を始めた。

令和3年に開催が予定されていた三重とこわか国体との関連も深く、多くの選手の出身クラブが三重国体の強化指定クラブだった。山田選手や競泳・男子平泳ぎ代表の谷口卓選手(22)=GSTR―GP=のように三重とこわか国体の三重県選手団に名を連ねた選手もいる。

 県では、県外出身であっても県内学校を卒業した選手であれば「三重ゆかり」の選手とした。14人の中には志摩市に本校を置く通信制の代々木高校の卒業生で、ゴルフ男女代表にそろって選ばれた中島啓太(24)=埼玉県出身=、笹生優花(23)=東京都出身=両選手も含まれる。

日本人の父とフィリピン人の母の間に生まれ、東京五輪はフィリピン代表として出場した笹生選手のようにさまざまなルーツを持つ選手も増える一方で、「三重ゆかり」の選手の活躍が、三重の若い世代に良い刺激となるとみて、幅広く応援していきたいとしている。