2024年8月9日(金)

▼「チャンスの神様は前髪しかない」と言われる。時刻、機会の神とされるギリシャのカイロスは長い前髪を垂らしていて捕まえやすいが、後頭部には髪がなく、捕まえることができない

▼県議会予算決算常任委員会が人手不足の到来で人材確保対策を進めるよう県に申し入れた。前髪を捕むにはちょっと遅い気もするが、労働環境の改善や生産性向上、外国人材の受け入れ体制整備など、民間への支援策とともに、県職員と教員の確保や人材育成も求められた。一見勝之知事としては目をパチクリしなかったか

▼県が知事を本部長とする「県人材確保対策推進本部」を設置して7月17日に初会合を開いたばかり。一見知事は「労働人口が減少する中でも経済を維持することが大事」とし、来年1月にも「人材確保対策推進方針」(仮称)をまとめ、シニア層や女性、外国人の活用など横断的に議論し「県全体で取り組んでいきたい」

▼いわば県内の産業振興に力強く乗り出そうとした矢先に、民間の心配をするのもいいが、足元は大丈夫かと指摘された格好だ。このうち、ブラック企業になぞらえられる教育現場で応募者が減っているのはよく知られ、県教委も来年度の採用試験を1カ月前倒しして、民間との競合に勝ち抜く構え

▼すでに本年度の志願者は過去最低だったとして、県議会はかつて“花形”とも称された県職員も「減少傾向にある」。チャンスの髪をつかむのは民間以上に難しくなっているのではないか

▼「人材確保方針」には県職員確保が優先されるかもしれないが、まずは仕事の魅力をアピールできるかだ。