伊勢新聞

2024年8月5日(月)

▼ボタンを押すと「110番してください」という音声と警報音が鳴る「街頭緊急警報装置」の半数、38基が故障したまま放置されていることで、一見勝之知事は張り紙で使えないことを示す対応を求めているという。県警が検討しているそうだが、無警報地帯だと知らせることになり、頭が痛いことだろう

▼防犯用に偽装のカメラを取り付けていた友人がいた。設置して13年。活用例がないなら、放置したままにしてはどうか。魔除けのお札程度の効果はあるかもしれない。前例もある。横断歩道の信号機や駅前広場などに感知器を備えて、黄色や赤の信号で渡ろうとしたり、駐車違反すると警告を発する装置を取り付けたのも同じ頃でなかったか

▼無人の広場で一晩中大音量で警告していたりして、いつの間にか鳴らなくなった。装置だけが今も存在しているが、こちらは街頭緊急警報装置と違って危険が迫った時に頼ることなどないから弊害はないのかもしれない

▼過去5年間で活用例がないが、県警の調査では装置周辺で犯罪が減少傾向で、「狙い通りの治安維持効果が得られた」というから予算の無駄遣いでなかったのはめでたい。部品生産は終了し、新設計画はないらしい

▼「限られた予算の中で撤去費用がなかなか捻出できなかった」と県警幹部は議会で釈明したという。横断歩道などの白線が消えて、塗り替えが追いつかない時も、似たような釈明をしていた。要は、何を重点に予算請求するかの問題で、過去の施策の後始末には力が入らないということでもあろう。