▼「酒を飲んだのに車を運転すること自体が犯罪行為だ」が野呂昭彦元知事の口癖だった。飲酒運転した職員は一律懲戒免職の厳しいルールを定めた
▼第1号適用となったのが家族旅行中に飲酒運転した職員である。宿泊先の旅館で酒を飲んで就寝。翌日昼ごろ目覚めて出発して取締中の警察の検査を受け、酒気帯び運転が指摘された。本人も気づかず、職員の多くは適用除外の声をあげたが、野呂知事は処分を強行。後に裁判所が免職を取り消したが、野呂知事は冒頭の言葉を繰り返し、ひるむことはなかった
▼今年の夏の交通安全県民運動期間に人身事故は前年比24件減の62件の大幅減だったが、昨年ゼロだった飲酒運転による人身事故が2件あった。そして、その1カ月前の6月21日午前1時半ごろ、県警組織犯罪対策課の36歳の男性警部補が自家用車を飲酒運転し、津市の県道交差点で赤信号を無視してパトカーに現認された
▼前日の夜に自宅で500ミリリットルの缶酎ハイ3本を飲んで「通行量が少なかったのでやってしまった。これまでに何回か同じことをした」。警察用語で言えば“常習犯”となろうか。「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」の交安標語もどこ吹く風。“確信犯”ともなろうか。犯行の態様として、極めて「悪質」に分類されるのではないか
▼さて、処分である。停職1月。自治体の処分に比べてあまりにも軽い。警察庁の規定に基づくというのが定番の説明だが、警部補は依願退職したという。県警の“規定”に基づいているわけでもあるまいが。