伊勢新聞

引きこもり実態調査開始 当事者や家族に、三重県施策に反映

三重県は1日、引きこもりの当事者や家族を対象とした実態調査を始めた。県が当事者への調査を実施するのは初めて。引きこもりの実態や当事者の声を把握し、今後の支援策に反映させる。

県によると、調査では引きこもりの状態となった原因や時期、外出の頻度、希望する支援などを質問。引きこもりとなった時の心情や家族との関係、修学や就労の状況なども尋ねる。

併せて、引きこもりの人らを支援している県内の団体にも調査を実施する。運営体制や提供しているサービスの内容、利用者数、支援に当たっての課題などを尋ねるという。

引きこもりを経験した人らで構成する一般社団法人ひきこもりUX会議(東京都)に約660万円で調査や分析などの業務を委託した。年度内に集計結果をまとめて公表する。

県は令和2―3年度にかけ、支援機関などへの調査を実施していた。今回の調査結果は、居場所づくりや就労支援などの施策に反映する想定。新たな「ひきこもり支援推進計画」も策定する。

国が令和4年度に実施した調査の結果に基づく推計によると、県内では約2万人が引きこもりの状態にある。高齢の親と子が生活に困窮する「8050問題」の深刻化も懸念されている。

地域福祉課の担当者は「不登校からの引きこもりに加え、社会人として働く中で引きこもりになるケースが増えている可能性がある。まずは実態やニーズを把握したい」と話している。

県のホームページなどにあるフォームを通じ、今月31日まで回答を受け付ける。過去に引きこもりだった人も回答できる。問い合わせは地域福祉課=電話059(224)2755=へ。