【熊野】全国的に出没件数が増加するツキノワグマへの対応を強化しようと、三重県農林水産部は1日、熊野市飛鳥町の小阪区集会所で警察と市、猟友会の4者で出没を想定した合同訓練を開いた。市内では初めて実施した。
県によると、県内のツキノワグマの出没件数は昨年度、平成18年の統計開始以降最多の40件だった。相次ぐクマの出没を受け、訓練は2月に尾鷲市内で初めて開き、本年度は農林事務所を構える8市町で実施する。
この日は約35人が参加した。訓練は集落地にツキノワグマが出没し、人にけがを負わせて逃走したと想定。警察官職務執行法に基づいた捕獲までの流れや、関係機関との連携などを確認した。
訓練では、自治会から通報を受けた警察が現場に急行。県や市にも情報を共有して猟師を手配した。倉庫の中からクマに扮(ふん)した県職員が現れると、規制線を張って4者が対応を協議。警察が猟銃の使用を許可すると、建物の2階から猟師が弾の入っていない散弾銃で撃つしぐさをしてクマを捕獲した。
市によると、市内では本年度、先月29日時点でツキノワグマの出没件数は27件。うち飛鳥町は最多の10件が報告されている。
飛鳥猟友会の桒原清志会長(76)は「有事の際は猟友会だけでは動けない。これ以上の被害が起こらないよう、より迅速な対応が求められる」と語った。