【多気郡】岸田文雄首相は31日、三重県多気町の商業リゾート施設「VISON(ヴィソン)」を視察し、同町など5町のデジタル田園都市宣言に同席した。岸田首相は「デジタルの力で地方創生をする取り組みが着実に進んでいると実感できた」と語った。
国のデジタル田園都市国家構想は岸田首相が掲げる「新しい資本主義」実現に向けた成長戦略の柱。地方からデジタルの実装を進め、仕事や交通、教育、医療の課題に当たり、地方と都市の差を縮め、地方活性化を目指す。
多気、大台、明和、度会、紀北の五町が連携する「三重広域連携モデル」が同構想推進交付金に採択され、ヴィソンを核に5町が仮想自治体「美村」としてデジタル技術を活用するまちづくりを進めている。2月からデジタル地域通貨や健康増進などのアプリを一つにまとめた「美村パスポートアプリ」のサービスを開始した。
岸田首相はホテルヴィソン前ロータリーから蔵前広場まで自動運転のヴィソンバスに試乗し、デジタル地域通貨「美村PAY」を使い、「Digi田(デジでん)美村クッキー」や伊勢たくあんを購入。デジタル環境を体験した。
岸田首相が同席する中、久保行央多気町長らが同宣言に臨み、「デジタルが産業や生活の質を大きく向上させる力を持っている」「地方創生の取り組みを加速、進化させていく」と読み上げた。
岸田首相は「全国初の宣言に同席でき大変うれしい。全国で進むように交付金で支援をさらに強化したい。全国津々浦々デジタルの実装を進め、どこでも誰もが便利に快適に暮らせる社会を実現する」とコメントした。
報道機関の取材に応じた岸田首相は、自動運転の一般道での通年運行について「昨年度中に25カ所以上に増加した。早期に百カ所以上での実施を目指す。2年前はゼロだった自動運転のレベル4は本年度中に10カ所程度で自走する。11カ月程度要した審査を2カ月程度に迅速化した」と述べ、「ヴィソンバスで来年1月開始予定のレベル4の運行も速やかに申請いただき、この秋をめどに大幅に前倒しする」と話した。
岸田首相の発言を受け久保町長は「美村PAYなどはもっともっと発展できる。希望を持って力強く進めていきたい」と話していた。