脱炭素で尾鷲市と連携、サカイ引越センター 三重の市町と初

【協定を結んだ加藤市長(左)と田島社長=尾鷲市役所で(尾鷲市提供)】

【尾鷲】三重県尾鷲市は31日、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「ゼロカーボンシティ」を推進しようと、サカイ引越センター(堺市)と協定を締結したと発表した。両者はJ―クレジットの取引などで連携する。同社が脱炭素で県内市町と協定を結ぶのは初めて。

J―クレジットは森林の二酸化炭素(CO2)の吸収量を国がクレジットとして認証する制度。市は来年1月までにJ―クレジットの認証を目指しており、引っ越しで排出するCO2を購入したクレジットで相殺したい同社と、公有林の保全費用を捻出したい市の思惑が合致し、締結に至った。

市は自然共生社会の実現を目指す「SATOYAMAイニシアティブ」などの環境活動に力を入れており、令和四年3月に「ゼロカーボンシティ」への挑戦を宣言した。協定ではJ―クレジットの取引のほか、温室効果ガス排出量の削減や森林資源を生かした教育活動に取り組む。

7月12日、加藤千速市長と田島哲康社長が市役所で協定を結んだ。加藤市長は「今後は共に、末永くあらゆる活動に取り組み、ゼロカーボンシティの実現にまい進したい」と強調。田島社長は「市の森林整備や豊かな海産物の販路拡大にも役に立てれば」とコメントした。

市によると、令和元年度の森林面積は1万7703ヘクタール。公有林は5030ヘクタールで、うち人工林813ヘクタールと天然林1228ヘクタールがJ―クレジットとして認証できる。