優勝の菰野、高い投手力光る 夏の高校野球三重大会を振り返る

【桑名西―菰野 2回戦、二回表一、三塁で、スクイズ失敗で飛び出した桑名西三走安藤が挟殺プレーをかいくぐり本盗に成功、投手栄田=19日】

7月に四日市市羽津甲の市営霞ケ浦第1球場などで行われてきた第106回全国高校野球選手権三重大会の決勝は、大会第2シードで、2008年以来16年ぶり3回目の優勝を目指した菰野と、ノーシードから04年以来20年ぶり2度目の優勝を目指した鈴鹿の対戦となり、菰野の勝利で幕を閉じた。

両校は高い投手力で勝ち上がってきた。中でも、菰野は2年生左腕栄田人逢が抜群の安定感を見せた。県大会、東海大会でいずれも準優勝した今年春の躍進の立役者。今大会も準決勝で、それまで二桁安打を誇った甲子園常連校の三重を7回6安打完封すると、決勝で鈴鹿を9回7安打完封した。

中1日の登板の決勝は「フォアボールを出したりといつも通り投げられなかった」が、ピンチでギアを上げて失点を防いだ。「仲間を信じて打ち取れることができたのでそういうところが良かったのかなと思う」と話し、仲間の支えにも感謝した。

【桑名北―皇學館 1回戦、二塁打の後に足がつって、対戦相手皇學館の選手に抱えられて治療のためにベンチに帰る桑名北水谷=6日】

昨年秋の県大会も決勝に進出している鈴鹿は、3年生右腕今村颯、2年生右腕高山航太朗の継投策が盤石だった。今年春の県大会は初戦で津商に敗れてノーシードで夏の県大会に臨んだが、1回戦で昨年秋ベスト8の桑名工、3回戦で昨年秋の県大会覇者で春のセンバツベスト16の宇治山田商などの強豪を2枚看板を軸に粘り強く倒してきた。

決勝における両校のチーム打撃もほぼ互角だったが、敵失を絡めて確実に得点した菰野に軍配が上がった。スタメン9人がすべて2年生ながら落ち着いた試合運びも印象的だった。今大会の第2シードを獲得した今年春の県大会で準優勝、その直後の東海大会も準優勝しており、その経験が生きた。ベンチの内外でチームを支えた3年生の活躍も欠かせなかった。

大会2連覇を目指したいなべ総合が尾鷲に敗れて1回戦で姿を消すなど、夏の初戦を戦う難しさを改めて感じさせる大会でもあった。その一方で、選手15人が持てる力を発揮し、9年ぶりのベスト16に進出した尾鷲の奮闘は部員不足に悩む他校に勇気を与えたに違いない。甲子園に出場する菰野以外の学校では新体制がスタートしており、秋の公式戦が今から楽しみだ。