歴史小説「威加海内」を寄贈 外城田川さん、玉城町に 三重

【辻村町長(左)に歴史小説「威加海内」を手渡す外城田川さん=玉城町役場で】

【度会郡】三重県玉城町の小説家、外城田川忍さん(74)が30日、玉城町役場を訪れ、三重を舞台に織田信長の次男、信雄(のぶかつ)の半生を描いた歴史小説「威加海内(いかかいだい)」(伊勢新聞社から出版)10冊を町に寄贈した。町内の小中学校や図書館に設置する。

外城田川さんは同町出身で早稲田大学卒業後、産経新聞社に入社し、東北総局長などを務めて平成21年に定年退社。同28年に同町に戻り、ふるさとの町おこしを目的に作家活動を始めた。元新聞記者としての取材力を生かして現場を歩いたり、資料を調べたりして臨場感あふれる物語を執筆し、これまで4冊を自費出版している。

今作は室町時代、伊勢国司の北畠家の養子となり田丸城を居城とした信雄と、海賊大名と呼ばれた九鬼嘉隆との関わりを軸に展開している。

外城田川さんによると、信雄の旗印が「威加海内」だと知ったことがヒントになり、信雄が築いた松ケ島城の跡地(松阪市)に行き、看板の縄張図を見て海上城だったことが分かり、「すごい人だ。信雄について書いてみたい」と約2年前から取材を始め、九鬼嘉隆との出会い▽北畠の滅亡▽宣教師▽種子島(鉄砲)の存在▽本能寺の変―の5つをちりばめて物語を書き上げた。

辻村修一町長は「来年は田丸城の天守築城450年を迎える。いいタイミングで5冊目の小説を出してもらい、うれしい」と喜んだ。

外城田川さんは「小中学生や町の人に読んでもらい、自分の住んでいる町の歴史や文化を知ってもらいたい」と話した。