鈴鹿は3年今村と2年高山の両右腕の活躍で、センバツ出場の宇治山田商、春の三重県大会覇者津田学園などシード校3校を破って決勝進出。菰野に敗れて20年ぶりの甲子園出場は果たせなかったが、今村は聖地への夢を高山に託した。
準決勝までの5試合全てで先発登板した主戦今村は身長166センチながらスライダーが武器の本格派。準決勝の津田学園戦で7回完投したが、試合後に指の皮がめくれて決勝の先発を回避した。
決勝は4試合に登板していた高山が先発。昨秋の県大会で体調不良の今村に代わって2試合連続完投するなど、26年ぶりの秋の東海大会出場に貢献した背番号10は「自分で投げきる」と意気込みマウンドへ。
初回は「球場の雰囲気が今までと違い、いつも通りの投球ができなかった」と四球に失策も絡み1失点。四回には1死一、二塁のピンチを作るも、今村が伝令として中江監督の言葉を伝え、菰野6番栄田を併殺打に打ち取った。
五回にも失策が絡んで1点を失ったが、準決勝コールド勝ちの菰野相手に6回2失点。今村から「ナイスピッチ」と声をかけられたという高山は「とてもうれしかった」とはにかんだ。
チームの「甲子園で勝つ」という目標はかなわなかった。今村は「来年は高山がチームを引っ張っていくと思う。同じところを目指してほしい」と話し、高山は「先輩の悔しい思いを胸に、来年こそは甲子園に出たい」と思いを受け継いだ。