2024年7月29日(月)

▼不祥事が毎度おなじみのような県教委で、再発防止策も型通りのきらいで本気度を感じさせないことが多いが、これはぜひ続けてほしい。教職員が部落差別問題を引き起こしたことの再発防止策である

▼動画やリーフレットを使った研修を全ての公立学校で実施するという。教職員は平成12年にも差別問題を起こしているが、この時は反省文なるものを何度も書き直しさせ、糾弾する運動体への出席を強要し、訴訟ざたに発展。県教委は敗訴した

▼法に基づかない事実上の処分や指導が厳しく批判された。県教委にとって思い出したくもない事案に違いない。部落差別問題への取り組みが、以来大きく腰が引けたし、おざなりの再発防止策さえ取られてこなかったのではないか。組織内で認識が共有、継承されてきた形跡がほとんどないのである

▼平成12年の事案では、差別発言を指摘された当事者は当初指導に従っていたが、県教委の執拗な追及と処遇にたまりかねて訴訟に持ち込んだ印象もあった。今回は土地取引を中止にさせた上に、その後も仲介した業者を批判し続けたという。態様はむしろ悪化している

▼県はまた、のちに不動産取引に伴う差別事象を調査して啓発したが、その教訓も、まったく生かされていない

▼「人権が尊重される社会の実現に向けて積極的に役割を果たさなければならない教員が、悪質な行為で関係者の心情を傷つけたことをおわびする」。空虚な響きさえ感じる福永和伸県教育長の言葉がそうではないことを、こんどこそ実績で示してもらいたい。