伊勢新聞

巨大灯籠「大口真神」と花火競演 きほく燈籠祭に5万5000人 三重・紀北町

【夜空に広がる打ち上げ花火=紀北町内で】

【北牟婁郡】巨大灯籠と花火が競演する「きほく燈籠祭」が27日夜、三重県紀北町長島港で開催された。昨年の5万人を上回る5万5千人(主催者発表)が訪れ、大灯籠の背後から打ち上がる色鮮やかな花火に酔いしれた。

今年は熊野古道の世界遺産登録20周年を記念し、かつて熊野古道に生息したとされるニホンオオカミを神格化した「大口真神」をかたどった高さ8メートルの大灯籠を港に浮かべた。会場内の広場には、町内の中学生が制作した約40個の中灯籠なども並んだ。

花火は1時間かけて約3千発が夜空を彩った。数十個の花火がクジャクの羽のように海面に広がる「彩雲孔雀」や、色とりどりの10号玉が2キロ以上にわたって広がる「彩色千輪」が打ち上がると会場から歓声が上がった。

飲食や物販など60を超える露店や、ダンスや戦隊ショーを催すステージも、多くの見物客でにぎわいを見せた。名古屋市から会社の同僚と来た岡部元希さん(23)は「地域に根付いた祭りを味わえて良かった。花火はカラフルで迫力があった」と笑顔で話した。

実行委員長の北出陽介さん(45)は「今年も多くの人に喜んでもらえて良かった」と語った。

燈籠祭は昭和3年、町内を流れる赤羽川の川開き行事として、数百羽の都鳥を模した灯籠を流したのが起源とされる。人口減や予算不足で昭和49年から一時中断したが、昭和62年に商工会青年部らが復活させた。今年で36回目。