伊勢新聞

2024年7月26日(金)

▼知事の政治的姿勢で考えさせられたのは北川正恭氏である。系列といわれた県議会議員を地元鈴鹿市の市長選に担ぎ出して実質引き回していたが、自身の知事選出馬が決まると、ピタリと活動を停止した。県民全体の代表となる知事に立候補する以上、市長候補の一方を応援するわけにはいかない、というのである

▼知事就任後も表向き後援会活動はしなかったし、野呂昭彦知事も続いたので、鈴木英敬氏が始めた時は衝撃だった。知事が一部の県民対象に県政報告や特別の関係を築くのは二重行政ではないかなどの指摘もあり、懸念には十分配慮するなどと答えていた

▼一見勝之知事が代表を務める政治団体「三重の明日を拓く会」が四日市市で政治資金パーティーを開いた。知事就任以降で5回目という。知事が資金集めのパーティーを開くことなど、珍しくも、特筆すべきことでもなくなってきたということだろう

▼政治資金パーティーが法的にも問題がないことは、全面禁止法案を衆院に提出した立憲民主党の幹部らが岡田克也幹事長はじめ同パーティーを計画していたことでも分かる。言行不一致だと批判され、岡田幹事長は「主張したら、法律ができるまでに自分たちで手を縛らなきゃいけないなんて話はない」と反論した

▼党内からの疑問の声で一転して中止を決め謝罪したのは周知の通り。ともあれ、その行動は報道されるが、一見知事の場合は後援会関係は政務に属するとして回答は「控えさせていただく」というのが通例。知事の半身がブラックボックス化しつつある。