【四日市】四日市の発展に大きく貢献した四郷出身の実業家2人にスポットを当てた特別企画展「四日市の近代化の礎を築いた伊藤小左衛門・伊藤伝七」がこのほど、三重県四日市市西日野町の市指定有形文化財「旧四郷村役場」(四郷郷土資料館)で始まった。9月29日までの土・日曜開館(午前9時―午後4時)。入場無料。
明治時代の四日市や旧四郷村の産業発展の過程を、日本の歴史と関連させながら紹介する。実物資料や写真、拓本、家系図、イラストパネルなど約50点を展示している。
五世伊藤小左衛門(1818―79年)は、座繰り製糸から県内初の蒸気機関を取り入れた製糸場を開業し、良質の生糸を生産して輸出するまでになった。十世伊藤伝七(1852―1924年)は渋沢栄一との出会いと支援によって、東洋紡の前身となる三重紡績を設立した。
アール・デコ様式の洋館「旧四郷村役場」は大正10年、十世伊藤伝七の寄付で建てられた。昭和57年に文化財指定を受け、翌58年に四郷郷土資料館として開館した。令和3年の築100年を機に耐震補強と復元修理に着手し、今年3月に再開した。リニューアル後、初の特別企画展となる。
市文化課の石田智洋さん(43)は「多くの方に両氏を知っていただきたい。子どもたちには、夏休みの自由研究として活用してほしい」と話している。