一人多役、松阪ナイン支える 女子部員得平さんに感謝のユニホーム 夏の高校野球三重大会

【高校最後の夏を前に仲間から贈られた名前入りユニホームを掲げる松阪の女子部員兼マネジャー兼ノッカー得平さん=20日】

ダイムスタジアム伊勢で20日に行われた第106回全国高校野球選手権三重大会2回戦。三塁側の松阪ベンチで、真新しい「MOMOKA1」のユニホームがひときわ目を引いた。

マネジャー兼女子部員兼ノッカーの3年生、得平(とくひら)百華(ももか)さんが大会を前に、サプライズプレゼントとしてチームから贈られた。「自分も一緒にいる、という思い」で、ベンチ奥の壁に自らつるしたという。

高校で野球部に入部後、しばらくマネジャーに専念していた。小・中学と軟式野球を続けた経験を、竹内伸監督に買われて、高1の途中からノッカーを務めた。チームメートの力になりたいと、手のひらの皮がむけることも厭(いと)わず、バットを振った。

ユニホームの贈り物は、1人何役もこなして野球部を支えたことへの感謝の気持ち。主な守備位置が投手にも関わらず、これまで得平さんが背負ったことがないエースナンバー「1」を選ぶ粋な計らいもあった。

2回戦でも、試合前、ユニホーム姿で内野ノックを行った後、制服に着替えて記録員を務めるなど忙しく立ち回ったが、奮闘むなしくシード校の明野に完敗した。

その瞬間、得平さんの「最後の夏」も終わった。高校卒業後は野球から離れるが、竹内監督から「ノックの技術だけでなく精神面でも成長した」とはなむけの言葉を贈られ「野球部の皆と過ごした時間はすごい貴重で、とても楽しかった」と話した。