2024年7月24日(水)

▼一発の銃弾がその後の世界の歴史を変えた例は多い。1914年(大正3)6月28日、サラエボ視察中のオーストリア=ハンガリー帝国の帝位継承者を暗殺した銃弾はたちまち各国を第一次世界大戦へと巻き込んだ

▼トランプ前米大統領の耳をかすめた銃弾は、瞬く間にトランプ人気を高めたようで、バイデン米大統領を再選断念に追い込んだ。世界に及ぼす影響は第一次世界大戦に匹敵しないか。バイデン大統領は撤退表明とともにハリス副大統領を後継指名した。民主党の混迷を早期に収束させる狙いがあったのかもしれないが、高齢批判が巻き起こった理由が分かる気もした

▼日米の政治風土が大きく異なるのは確かだろうが、大統領の不測の事態で後を継ぐことになった副大統領に好イメージがない。自分の後を襲う野心家をナンバー2に据えるはずがないという我が周辺の狭い政界事情による偏見だろうが、バイデン氏も、初挑戦の時は一期限りを明言し、後継者育成を責務としたが、その気配はなく、再選準備を進めてきた

▼人間の考えることにそう違いがない以上、ハリス氏指名はもう少し慎重であるべきではないか、と言ったところで、よその国の大統領選に何の見識を発揮する気もない。ただ、6月、イタリアで開かれた先進7カ国首脳会議(G7)は「イタリアを除くレームダックの集まり」と一部で酷評されていた

▼その後、英国は新首相が誕生し、フランスも与党が大敗、米国の大統領が替わる。岸田文雄首相はどうかと思いを巡らせたくなっただけである。