▼夏の風物詩が危機にひんしている。花火大会で「たまや」と叫べるのも今年限りかもしれない。すでに全国各地で、花火大会の中止が続発中だ。花火大会の中止は世界的な流れで、米国では独立記念日の花火が各地で中止。代わりにドローンが夜空を彩ることになった
▼花火が環境によくないのは以前から指摘されてきた。爆発で有害物質がまき散らされ、大気汚染が進む。近年は温暖化・気候変動の見地からも中止が求められるようになった。米国やギリシアでは花火が原因の山火事も発生した
▼中国では、2015年以降、北京、上海などの大都市で花火や爆竹の使用が禁止され、当局の許可を得た花火大会しかできなくなった。コロナ禍が明けて一時的に規制が緩んだが、今後はさらに強化される。こうなると花火に取って代わるのがドローン。日本でも今後導入が進むだろう
▼ただ、日本と世界とでは花火大会中止の理由が違う。日本の場合、開催自治体の財政難が最大の理由で、温暖化対策とはほぼ無関係。花火生産の九割、ドローン生産の8割は中国。結局どうなろうと、私たちが楽しむ夏の風物詩は中国産に変わりない。