萬古焼製造9事業者に補助金 三重県、ペタライト調達困難で

四日市萬古焼の原料となる鉱石「ペタライト」の調達が困難になっている問題で、三重県は18日、萬古焼を製造する九つの事業者に補助金を交付すると発表した。ペタライトの使用量が通常よりも少ない土鍋を試作する費用などに充てる。

県によると、補助の上限は一事業者あたり100万円。ペタライトが少ない陶土の購入などに必要な費用の半額を補助する。事業者はこの陶土を使って土鍋を製造し、品質に問題がないかを調べる。

県は本年度一般会計当初予算で、1千万円の補助金を計上していた。4月30日から約2カ月間にわたって補助金の交付先を募り、応募のあった四日市市と菰野町の9事業者を全て採択した。

ペタライトは陶土に混ぜると耐熱性が高まるため、昭和30年代ごろから萬古焼の土鍋に使われてきたが、電気自動車のリチウムイオン電池にも使われることから近年は価格が高騰している。

さらに、調達先だったジンバブエの鉱山が中国企業に買収され、令和4年2月から日本への輸入が停止。今年3月には試験的に輸入が再開されたが、安定的に供給される見通しは立っていない。

一方、県工業研究所には、陶土に含まれるペタライトの量を通常の半分にしても品質は保たれるとの研究結果があるという。県は萬古焼の生産者を支援することで、伝統産業を維持したい考え。

また、県は県指定伝統工芸品「伊勢の神殿」を製造する宮忠(伊勢市)にも、この補助金を交付する。神殿に使う金属製の部品を製造する事業者が減少していることへの対策に充てるという。