2024年7月18日(木)

▼問 トランプ前米大統領が狙撃される直前に顔をわずかにそらし、致命的被害を避けることができたのはなぜか。答 日本の友人が忠告する声が聞こえたんだ―なぞなぞではない。トランプ前大統領の狙撃を巡り、米国でもさまざまな偽情報が飛び交っているらしい

▼「日本の友人」とは凶弾に倒れた安倍晋三元首相のこと。さすがアメリカとニヤリとする人ばかりではあるまいが、ここぞとばかりに社会の分断をあおったり、捜査をかく乱する偽情報が大量に出回っているという。米国では先ごろ子どもを自殺に追い込む偽情報を放置しているとプラットホーム大手が議会公聴会で厳しく指弾されたが、日本では総務省が偽情報対策を制度化する有識者会議を開いた

▼著名人に成り済ました投資詐欺広告が急増したことを受けて厳格な基準や公表、削除の仕組みを定めることが柱。6月に決めた当面の被害防止策が新技術を駆使しての巧妙化で役にたたなかったようだ。後追いの体質を物語っている。6月、60代男性が「元日銀総裁、黒田はるひこ」を名乗る人物とSNS(交流サイト)を通じて知り合い、LINE(ライン)で連絡を取り合うようになって1千万円をだまし取られた

▼著名人から勧められたという投資詐欺は後を絶たない。事前審査で本人確認を求めていくようだが、本質的対策になるのかどうか。時折ショートメールに入ってくる成り済ましは、友人を装い巧妙だ

▼削除の仕組み作りは人権侵害でたびたび求められてきた。対応していたら被害は防げた気がする。