伊勢新聞

2024年7月13日(土) 

▼今年もまた「猛暑」と「大谷翔平」の夏になった。テレビは連日こればかりだ。円安インフレで生活必需品の価格が上がり、政治も経済も混迷しているいま、もっと伝えるべきニュースがあるのになぜなのか? その理由を考えると、意外な共通点がある

▼まず猛暑報道。これはたいていの場合、レポーターが街に出て、温度計を掲げて「本当に暑い、暑いです」と訴え、街行く人にも「暑いですね」と言ってもらう。あとは記録更新のお天気解説をスタジオで行い、全国最高気温ランキングなどのパネルを見せるだけ。まさに「猛暑エンタメ報道」で、制作費はたいしてかからない

▼次に大谷報道。こちらも映像を使う場合はMLBに映像使用料を払うが、映像なしでも、たとえば「打席再現パネル」でゲストが解説する、愛犬や夫人の動向を伝えるなどの「大谷エンタメ報道」で、安上がり。しかも、どちらも視聴率はいい

▼安上がりのうえ視聴率が取れるとなると、自前の取材・制作に基づく報道はどんどん減っていく。発表ニュース、エンタメニュースばかりとなり、テレビは報道機関でなくなる。これでいいのかテレビ局?