国立鈴鹿病院で36件虐待疑い 障害ある入院患者に 5月に匿名通報 市町が調査へ

【「他市町と連携し慎重に調査を進める」と話す末松市長=鈴鹿市役所で】

【鈴鹿】三重県鈴鹿市の末松則子市長は11日の定例記者会見で、同市加佐登3丁目の国立病院機構鈴鹿病院で障害がある入院患者への虐待疑いがあり、現在調査中であることを明らかにした。「他市町と連携して慎重に調査を進める」と述べた。

市によると、5月に匿名の一斉メールで障害福祉課に、医師や看護師らによる暴言などの虐待があると通報があった。

調査に関わるのは鈴鹿市をはじめ、当該する入院患者の医療介護支給決定に携わる三重、愛知両県の計18市町。

現在、各自治体の入院患者25人に対し、昨年1年間で36件の虐待疑いがあるとして、県主導で全体を取りまとめているという。今後は各自治体が虐待認定し、県が指導する。

36件のうち、鈴鹿市が調査するのは市内患者2人の2件。今後の聞き取り調査で増える可能性もある。

鈴鹿病院は神経、筋疾患、重症心身障害の専門医療機関。同病院によると、医師や看護師ら8人による心理的、身体的虐待などが疑われる事案があったという。その都度注意してきたため、業務改善に至っていると判断し、障害者虐待防止法に伴う自治体への報告はしていなかった。

現在は第三者を含む調査委員会を立ち上げ、調査に臨む。同病院は「自治体の調査指導のもと、再発防止に取り組む」と話した。

末松市長は「法律に基づき、本来なら事後でも各市町に報告していただくべきで、残念」と話した。