伊勢新聞

2024年7月11日(木)

▼県OBらと昼食を共にしながらテレビでデータ改ざんのニュースを見て「最近はこんなのばっかりだな」と、ひとしきり話が盛り上がった。「失敗をしたのは仕方ない。隠すのは絶対だめだとよく言ったものだが」と元幹部。「昔は言うなと言えば外に漏れることはなかったが、そんな時代ではない。余計、ひどいことになる」

▼その教訓の効き目は知らぬが、前段部分の「失敗をしたのは仕方ない」は浸透してすっかりタガが外れた感はある。県いなば園の勤務経験者が後を引き継ぐ。「入所児童が死んだことがあったが、隠そうという周囲の大勢のなかで、断固公表させた」。おや、隠したと思っていたのは記憶違いだったか。ともあれ、同園の虐待事件続きにはみんなあきれた

▼介護現場の効率や負担軽減などを目指して県が一日オープンしたのが「みえ介護生産性向上支援センター」。「介護の業務が効率化すれば、人材確保や定職化にもつながる」と県担当者。介護福祉士が利用者との対話方法など、課題を抱える事業者の相談に乗るのが目玉だが、津の特別養護老人ホームで介護福祉士の50代の職員が入所者四人の背中をたたいたり、頭を押しつけるなど、虐待の疑いで津市の調査を受けた

▼職員本人も施設長も「あってはならないこと」と口をそろえるのが介護現場の特徴であり難しさなのだろう。二年前にも虐待事件があったという。施設長は「職員教育の徹底」で再発防止を誓うが、安心しきれない。それだけで根絶できないことは県などの数々の前例は示している。