<高校野球>先発「オール1年」の四日市商、敗退に涙の3年生が後輩激励

【四日市商―海星 試合後のあいさつを終え、ベンチに向かう四日市商の松永主将(左)=四日市球場で】

4年ぶりの夏の初戦突破はかなわなかった。宇治山田商を率いて春夏通算3度甲子園に出場した中居教諭が昨年春から監督を務めている四日市商。「オール1年」のスタメンで、海星との1回戦に臨んだが五回コールドで敗れた。

先発の1年生9人中5人が硬式野球経験者。昨年秋以降、選手5人で活動してきたが、今年春21人の新入生を迎えて状況は一変した。単独で試合ができるようになり、4月下旬から精力的に練習試合を行った。

県内屈指の強豪に初戦でぶつかることになった試合は、継投でロースコアの展開に持ち込むことを目指した。しかし、若いチームは甲子園出場校の揺さぶりに初回から苦しんだ。

一回、内野安打と四球で無死一、二塁のピンチに立たされると海星3番打者の内野安打が守備の乱れを呼ぶ間に先制点を与えた。結局本塁打1本を含む9安打で11点を奪われた。

それでも三回、「大きな当たりを狙わず、バットを短く持って単打狙い」の1番平野の左越え二塁打から1点を返す意地を見せた。上級生も出場の機会を信じて、主将の松永ら3年生3人を中心に、献身的に後輩をサポートした。

投手で背番号1をつけた松永は後半から投げる準備もしていたが、五回で試合が決着し、登板の機会は訪れなかった。試合後、同監督から「3年生に申し訳なかった。先生自身悔いの残る試合と言ってもらった」。

練習は厳しかったが四日市商で野球に打ち込んだことに悔いはないという。「今日も負けはしたが粘れるところは粘れた。中居先生に教えてもらったら絶対強くなる。この経験をこの先に生かしてほしい」。涙ぐみながら、後輩たちを激励した。