▼7月3日から新札が登場。お札の顔が、渋沢栄一(1万円札)、津田梅子(5千円札)、北里柴三郎(千円札)に変わった。歴史的な円安が進むいま、円のお札にありがたみを感じないが、大歓迎している国がある。なんと、ヒマラヤの山国ネパールである。紙幣の原料を日本に大量に輸出しているからだ
▼紙幣の原料となるミツマタは、中国南西部、ヒマラヤが原産。日本では「山に春を告げる」花として知られ、昔から和紙の原料として使われてきた。しかし、近年、主産地である徳島県や岡山県などで栽培・生産が減った。そこで、海外で代替植物を探したところ、ネパールのヒマラヤの高地に咲くアルゲリが最適と判明した
▼アルゲリに目をつけた印刷局と委託業者は、現地の農家に頼んで栽培を促進し、専門家を派遣して技術指導を行なった。その結果、換金作物を持たなかったヒマラヤの貧しい農家の生活が豊かになった。とくに加工に従事する女性たちの暮らしが変わったと、現地紙は伝えている。アルゲリは、ミツマタと同じ黄色の花を咲かせる。新札を使うとき、黄色い花とヒマラヤに思いをはせてみたらどうだろう。