伊勢新聞

犯罪被害者遺族が講師に 稲生高で命の大切さ学ぶ授業

【命の大切さなどについて話す武さん=鈴鹿市稲生町の県立稲生高校で】

【鈴鹿】三重県鈴鹿市稲生町の県立稲生高校(横山勝則校長)で4日、命の大切さを学ぶ教室があった。大阪市の「少年犯罪被害当事者の会」の武るり子代表(69)が講師を務め、「ある日突然息子の命が奪われたことで、周囲の人生や生活が変わった。それくらい一人の命は尊い。一日一日を大事に過ごして」と話した。

県警とみえ犯罪被害者総合支援センターの共催。夏休みを前に自分や他人を大切にする規範意識の向上を図る狙い。

28年前、高校1年だった武さんの長男は、見知らぬ少年らにいわれのない因縁をつけられ、暴行を受けて命を失った。

武さんは犯罪被害者遺族となり経験したつらさや、周囲の偏見による心の痛みを振り返り、「悩んだ時には一人で抱え込まず、誰かに相談して」と呼びかけた。

全校生徒と教職員ら約500人が熱心に話を聞いた。生徒会長の3年、西本愛一郎さん(17)は「友人たちの相談に乗ることが多いので、今まで以上に寄り添っていきたい」と話した。