伊勢新聞

生徒の悩み、複数で受け止め 高3自殺で再発防止策 三重県教育長会見

【定例記者会見で、調査委の提言を踏まえた再発防止策を発表する福永教育長=県庁で】

三重県立高3年の男子生徒が自殺した問題で、福永和伸県教育長は4日の定例記者会見で、事案の再発防止に向けた取り組みを発表した。特定の教員だけでなく、他の教員にも悩みを相談しやすい体制の構築などを掲げた。

県教委によると、再発防止策は、有識者でつくる第三者委員会(5人)の提言を踏まえて策定。調査委は進路指導体制の見直しや子どもの意見を聞く意識の強化などを提言していた。

再発防止策は、進路や部活動で悩む生徒が、複数の教員やスクールカウンセラーなどに相談しやすい体制が整っているかどうかを各学校が点検すると明記。校長が夏休みの開始までに点検する。

専門家による研修の動画を活用し、校内で自殺予防に向けた取り組みも進める。県立こころの医療センターと連携し、自死リスクの高い児童生徒に関する学校からの相談に対応するという。

福永教育長は「生徒のSOSを受け止める体制が築けていなかった」とした上で「今回のように相談しにくいケースがないかを点検する。気兼ねなく相談できる体制を徹底させる」と述べた。

男子生徒は令和4年8月に自殺した。自らの進路に本心から納得できずに強い焦りや無力感などを感じていたが、進路指導を担当した部活動の顧問とは、十分な意思疎通がなかったという。