【津】三重県玉城町の小説家、外城田川忍さん(74)が、三重を舞台に織田信長の次男、信雄(のぶかつ)の半生を描いた物語「威加海内(いかかいだい)」を自費出版した。綿密な調査を基にした歴史小説で自身5冊目。「地元の方や歴史好きに読んでほしい」と話している。四六判209ページ。税別1800円。
外城田川さんは同町出身で早稲田大から産経新聞社に入社。平成21年に定年退社し同28年から同町を拠点に執筆している。
今作は室町時代、伊勢国司の北畠家の婿となり田丸城を居城とした信雄と、海賊大名と呼ばれた九鬼嘉隆との関わりを軸に展開する。タイトルは信雄の旗印「威加海内」で、漢の始祖・劉邦の詩から、威光が天下に広がり平和が訪れる様子だという。
外城田川さんは創作のきっかけについて「信雄が田丸城から松ケ島城になぜ移ったが分からず現地に行った。看板の縄張図で海上城だったと分かり、すごい人だ、人となりを書いてみたいと思った」と振り返り「調べてみたら次々と面白い話がつながった。多くの人に取材した内容をたっぷり入れ、海賊大名との友情や本能寺の変など『こうだったのでは?』という思いを盛り込んだ」と述べた。
出版の報告を受け、小林千三社長は「いろんな要素が全部詰め込まれどこを開けてもものすごい情報量。大変面白い」と絶賛した。問い合わせは伊勢新聞社=電話059(224)0003=へ。