伊勢新聞

2024年7月3日(水)

▼人気テレビドラマ「相棒」で水谷豊さん演じる頭脳派刑事・杉下右京の決めぜりふだと「細かいことが気になるのが僕の悪い癖」になるか。国土交通省や東海3県でつくる伊勢湾再生推進会議が伊勢湾流域圏の水質やごみ、水生生物を調査する一斉モニタリングの参加者募集を始めた

▼平成21年から毎年実施しているが、事務局によると、令和4年度は学校やNPO法人など38団体の567人が167地点を調査したという。なぜ昨年度(5年度)の実績ではなく一昨年度の数字なのか。調査結果をホームページで見ると3年度分しか探せない

▼小学生が水生生物の調査をしている記事が一昨年の本紙に掲載されているが、これは農林水産省の補助事業。それぞれ思い思いにやっているのかもしれない。だから、というわけでもないが、県の水質総量削減制度が一昨年、がらりと変更になった

▼同制度が計画された昭和54年から栄養塩類(窒素・りん)を「削減一辺倒」してきたが、気がつくと伊勢湾の主要産業の一つクロノリ養殖はじめ水産資源が激減していた。植物プランクトンが育たないためだ

▼一昨年から窒素・りん濃度が「適正」な状態を「きれいな海」と宗旨替えし制度を「柔軟」に運用。下水処理場の放出基準を倍に緩和した

▼業務改善命令をちらつかせ、高額な設備投資を求めた施策は何だったのか。「多すぎると赤潮など被害を引き起こすが、海の生物には不可欠。管理と保全の両輪で進める」

▼失敗と知らされるまで止まらないということだろう。