<高校野球連載「3年力」> 明野の小山―松田バッテリー、「古豪復活」目指す

【明野の(右から)主将で捕手の松田と主戦の小山】

1987年を最後に夏の甲子園から遠ざかる古豪・明野(伊勢市)が再び脚光を浴びている。今年春の県大会で8強入りして第106回全国高校選手権三重大会の第5シードを獲得した。昭和時代に黄金期を築き、夏5回、春3回の甲子園出場を果たすが2000年以降県内ベスト8にさえ残れずにいる。野球部再興に燃えるナインの中心にいるのが、06年以降に生まれ、入学まで同校が甲子園出場校だったことを知らなかった小山大和、松田大聖の3年生バッテリーだ。


今年の夏こそ「古豪復活」を印象づける。主将も務める松田は「ぼくら3年になってから甲子園がより身近になった。春(県大会で)ベスト8に入って行けるんじゃないかって気持ちになっています」。

伸びのあるストレートが武器の右腕小山とスローイングに秀でた捕手松田は2年から先発バッテリーを任される。昨年夏はベスト32で終えたが、昨夏ベスト8の松阪商、昨秋3位の神村学園伊賀を退けこの春8強入り。昨秋の県大会覇者でセンバツ帰りの宇治山田商に準々決勝で敗退したが、現行方式になって初めて夏の県大会のシードを獲得した。

当初高校で野球に打ち込むことには消極的だった2人だが、熱心に勧誘してくれた野球部の辻村健彦監督の指導野球への情熱をよみがえらせた。「自分に自信がなかった」松田は、三重大時代強打の捕手で鳴らした辻村監督のマンツーマンの指導で、捕手の魅力に開眼した。

中学時代硬式野球チーム主将も務めながら、中学で野球を止めることさえ考えていた小山は「どこに投げても打たれない時とかたまにあるのでそういう時楽しい。卒業しても独立リーグを受けて野球をしようかなと考えている」と話す。

チームの雰囲気も変わった。この春、県大会準々決勝で敗れた時は監督と一緒に悔し涙を流した。「ベスト8に入って全然満足じゃなかった。そこは大きい」と意識の変化を感じ取る松田。「目標は、目指せ甲子園じゃなく、行くぞ甲子園です」と気勢を上げる。


阪神甲子園球場で8月開催の第106回全国高校野球選手権大会の出場校を決める三重大会が7月5日に開幕する。出場する県内62校60チームを支える3年生たちの高校最後の夏にかける思いを紹介します。