三重県は27日、住信SBIネット銀行(東京都港区)など4社と、森林の二酸化炭素(CO2)吸収機能に経済的価値を生み出す「J―クレジット制度」の利用促進に向けた協定を締結した。協定した5者は林業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化などを通じ、林業者などに制度の活用を促す方針。同社がJ―クレジットに関する協定を都道府県と結ぶのは初めて。
J―クレジットは、森林のCO2吸収量に経済的価値を付加し、国がクレジットとして認証する制度。購入したクレジットは、企業活動で排出したCO2の相殺などに活用できる。
協定には同社のほか、いずれも企業や自治体にDX化を支援などしている、セールスフォース・ジャパン(東京都千代田区)▽テミクス・グリーン(同港区)▽マプリィ(兵庫県丹波市)―の各社が参加。4社は業務提携などの関係にある。
県と4社は協定に基づき、クレジット販売の委託方法を検証したり、クレジットの創出に必要な森林の情報をデータ化したりする。創出から販売までの流れを円滑化することで、林業者に森林の整備を促したい考え。
林業の脱炭素化に向けた県の取り組みを知った4社が昨年、県に協定の締結を提案したことがきっかけ。県はJ―クレジットの活用を重点事業として進めてきたことなどを踏まえ、提案に応じた。
この日、一見勝之知事と4社の代表が県庁で協定書に署名した。住信SBIネット銀行の円山法昭社長は「日本は林業のDX化が遅れている。県が音頭を取れば各市町に広がると思う。モデルケースになっていただきたい」と期待した。
一見知事は「県の西側には山があり、多くの森林が広がる。J―クレジットはカーボンニュートラルを進める大きなツール。日本が良い形に進めるよう、最大限協力したい」と語った。