新たに4件、いじめ認定 女子生徒不登校・転校問題で三重県調査委

【一見知事(手前)に報告書を手渡す庄山委員長=県庁で】

中学校と高校でいじめを受けた女子生徒が不登校となった末に転校した問題で、三重県いじめ調査委員会(委員長=庄山哲也弁護士、5人)は25日、調査結果を一見勝之知事に答申した。高校が設けた調査委が認定していた9件に加え、新たに4件をいじめと認定。加害者と認定した生徒も3人から5人に増えた。

問題をめぐっては、女子生徒は県立高校に入学してまもなく、同級生からいじめを受けた。夏休み明けに不登校となった末に転校。亀山市内の中学に在籍していた際も、いじめを受けていた。

女子生徒側が被害を訴えてから1年以上が過ぎた令和2年5月、高校はいじめ防止対策推進法に基づく「不登校重大事態」と認定。高校が設けた調査委が3年1月に調査結果をまとめていた。

一方、県は4年10月、女子生徒側の意向を踏まえ、別の第三者でつくる調査委に再調査を諮問。調査委は、当時の生徒や教員ら十数人に対する聞き取りを経て、今回の報告書をまとめた。

報告書は、高校の調査委がいじめと認定した9件に加え、中学で教科書や筆箱をロッカーから取りに行かせた▽中学で無視をした▽高校で荷物を持たせた―などの4件を新たに認定した。

また、高校の調査委と同じく、中学と高校で受けたいじめの双方に不登校との因果関係があったと判断。中学で受けたいじめで不安定となった精神状態は「高校進学後も続いた」とした。

過去にいじめを受けた生徒は小さな対人関係の悪化で苦痛を感じる「いじめの後遺症」を、教育現場に周知するなどの再発防止策を提言。中学からの引き継ぎに不備があったことを踏まえた。

この日、庄山委員長が県庁で一見知事に報告書を手渡した。庄山委員長は「子どもの気持ちに寄り添う必要がある。提言の内容を十分に踏まえ、再発防止に取り組んでほしい」と述べた。

一見知事は「不登校となって転学する前に、周りの大人が対応できていなかったことは痛恨の極み。重く受け止め、教育委員会に対応を求める。県としてもしっかり共有する」と述べた。