伊勢新聞

木のぬくもり感じる盆や花器 杉谷さんが漆器作品展 三重・鳥羽

【漆器作品の個展を開いた杉谷さん。右奥が能登半島地震の被災地から戻った花器=鳥羽市の鳥羽大庄屋かどやで】

【鳥羽】漆器の作品作りを続ける三重県鳥羽市の杉谷三朗さん(70)の作品展「木のうつわたち」が、同市の観光交流施設「鳥羽大庄屋かどや」で開かれている。

杉谷さんは、定年退職を機に、漆器作りを始めた。漆の美しさに引かれ、独学で技術を磨き、この10年、公募展などで入賞や入選を重ねてきた。

作品は、桜や栗、ケヤキなどの木材を、のみやかんなで削って形作り、漆を幾度も塗り重ねて仕上げる。木の質感からインスピレーションを受けて、デザインや色彩のアイデアが浮かぶという。

会場には、豆皿やわん、盆、花器など木のぬくもりを感じる約80点が並ぶ。中には、1月1日から石川県輪島市で開かれた漆の工芸展に出品していた花器もある。開催初日に能登半島地震に見舞われ、会場は被災したが、花器は3月に杉本さんの元に無傷で送り届けられ、思い入れがある作品だという。

杉谷さんは「ノミの削り跡の表情や、漆の色合い、しっとりした質感を感じてほしい。作品を通じ、漆器の産地輪島の被災地のことも思ってもらえたら」と話していた。

30日まで、火曜休館。