鳥羽市沿岸の絶滅危惧種、データベース化 世界中で閲覧可能に 三重

【「鳥羽市海のレッドデータブック」がデータベース化されたことを紹介する中村市長(左端)と国立研究開発法人海洋研究開発機構の関係者ら=鳥羽市役所で】

【鳥羽】三重県鳥羽市が絶滅の恐れのある海の野生生物の調査結果をまとめた冊子「鳥羽市海のレッドデータブック2023」がこのほど、データベース化され、世界中で閲覧可能となった。

市は昨年、海の現状を把握し豊かな資源を守っていくための基礎資料として、海のレッドデータブックを発刊。地元の漁師や海女らが協力し、市水産研究所や三重大、鳥羽水族館などの専門家13人が調査・執筆を行い、鳥羽市沿岸などに生息する海洋生物計419種を絶滅種や絶滅危惧種、準絶滅危惧種などに分類して掲載した。

レッドデータブックの情報は、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の沖縄拠点「国際海洋環境情報センター」で運用しているデータベースシステム「BISMaL(ビスマル)」で公開。BISMaLを経由して、国連教育科学文化機関(ユネスコ)傘下にある世界最大級の海洋生物の情報システム「OBIS(オービス)」に登録され、世界中の研究者らが閲覧できるようになった。

同市沿岸での観察事例がデータ化された世界最大のウミガメ「オサガメ」を例に挙げると、OBISにおいてデータ化されたオサガメのデータと組み合わせることで、より広い視点からの可視化が可能となり、市の観察事例と回遊ルートとの位置関係が分かるという。

同機構の関係者も、市レベルで海洋生物の絶滅危惧情報を取りまとめて書籍出版からデータ公開までを行うのは珍しく、先進的な取り組みと話す。今回のデータベース化により、世界に通用する海洋人材の育成や海の研究地域としてのブランディングなどが期待されており、中村欣一郎市長は「海を介して交流、連携、発信することは市民全体の利益になる」と話した。