2024年6月25日(火)

▼コロナ禍の末期、昨年9月にリニューアルオープンした東京・日本橋の首都圏営業拠点「三重テラス」が、リニューアル前の前年同期比で来館者が減少したことは驚くに当たるまい

▼24%(8万200人)の減。リニューアルから2週間後までは75%増だったから、翌月以降との落差は激しい。県の努力も2週間の命だった。三重とこわか国体・大会までコロナを理由に中止しながら、先の見えない時期にリニューアルオープンしたことがむしろ不思議だが、一度決めたら引き返さない行政のいつものことと言えるのかもしれない

▼県産品振興課が言っている。「リニューアル当初はイベントなどで重点的に取り組んだが、その後は通常営業だった」。いつもの通り取り組み、いつもの通りの結果だったということだろう。コロナに伴う人流の変化など考慮の外だったに違いない

▼「旬の食材を扱うなど、来館者を飽きさせない工夫に努める」が今後の方針。東京・日本橋の商戦激戦区の中で、県のありきたりの戦略を貫くことはいささか心細い限り。都道府県が東京で繰り広げるアンテナショップのうち、タレントだった知事が広告塔に徹した宮崎県以外は軒並み赤字の中で、「三重テラス」が好業績を誇ったのは式年遷宮に続く伊勢志摩サミットでのマスコミへのケタ外れの露出度だった

▼式年遷宮が動き出した。前回を上回る県の発信力をどうするか。交通サミットで外国メディアがゼロの教訓を生かし、今度こそ一過性にしない―県として最も不得手な試みに挑まねばなるまい。