三重県の津駅西口駅前広場の再整備に向け、市では具体的な配置計画図(イメージパース)を作成し、幅広い市民の意見を募集している。東口についても整備の検討が進められており、市の“顔”と言える津駅の玄関口が新たに生まれ変わろうとしている。
津駅西口は朝夕の通学、通勤客の往来や送迎車、バス、タクシーなどが混雑し、歩行者らの安全確保や利便性の問題が長年の課題となっている。
周辺には小学校や高校、短大など学校が8校あるほか、県庁はじめ官公庁もある。最も往来が激しい朝7時から9時までの2時間では、美術館方面の西側に約2500人、県庁方面の南側へ約900人の往来がある。一方で、送迎車が無秩序にロータリー内に滞留していたり、歩道が狭いなどの問題点が指摘されてきた。
市では津駅周辺の再整備に向けて国、県とともに昨年度に津駅周辺道路空間再編検討委員会を設置。その中で、西口については「津駅西口駅前広場エリアマネジメント会議」を昨年9月に設け、交通の整序化やルールづくりを進めてきた。
整備に向けた方向性を示す基本方針も提示。即効性かつ連続性のある西口駅前広場の再編▽安全性と利便性を確保した交通流動の秩序化▽マネジメントの視点による駅前広場全体の最適化―を掲げている。
今回、整備に向けたたき台を示そうと、具体的な配置計画図を作成。3月にエリアマネジメント会議にも示した。
配置図では、駅前広場の混雑解消と危険回避が喫緊の課題であることを踏まえ、構造物の設置は最小限にし、必要最低限の施工で効果が得られるように検討。中央に配置されていた築山は撤去することにした。さらに、公共車両(バス・タクシー)と私的車両(送迎車など)を分離し、公共車両と私的車両を別々に誘導するようにした。
また、これまでなかった送迎車両の乗降場所を明確化した。バス乗り場については、鉄道からの乗り継ぎに近い位置に移設するとともに、必要な待機場所を確保した。ほかにも、スクールバス乗り場をロータリー内に移設するほか、歩道の幅員の拡幅なども行うとする。
ただ、例えば送迎車の乗降場所として約8台分が確保されているが、朝夕の混雑時に整然とさばききれるかは未知数だ。枠内に入れなかった車はどうなるのかといった疑問点もある。エリアマネジメント会議からは、歩行者の通行面などで安全性に懸念が出たという。
市では、この配置図はあくまでもたたき台との意向だ。前葉泰幸市長は定例記者会見で、「パーフェクトにはほど遠いが、市民に示してみようという結論になった」と強調。幅広い意見を聞いたうえで、計画に反映させる考えだ。
意見募集は今月末まで。市ホームページに掲載しているほか、駅前広場にQRコードを提示し、駅利用者の意見も募る。また、近隣の高校などに直接出向き、アンケート調査も実施している。
整備に向けては今年度中に基本計画を策定。来年度に詳細設計を進め、令和8年度には工事着手する予定。