伊勢新聞

2024年6月24日(月)

▼さすがは総務部長と言えようか。県議会総務地域連携交通常任委員会で、コンプライアンス(法令順守)を重視しすぎると「職員が怖がってしまう。このあたりで収束しては」と水を向けられて後田和也総務部長は「職員が萎縮してしまい、しっかりと業務ができなくなることがあってもまずい。綱紀粛正と業務推進のバランスをうまく取りたい」

▼得たりやおうの答弁である。責任を問われるような事態が起きると、関連事案すべてで「しっかりと業務ができなくなる」職員気質をよく分かっているということだろう。原因は「萎縮」もあるが、触らぬ神にたたりなしや、アツモノに懲りてナマスを吹く―なども。君子危うきに近寄らず。県庁に君子は実に多い

▼具体的には、医療保健子ども福祉病院常任委での指摘があげられよう。児童虐待に関する相談対応や一時保護が増加する一方で児童養護施設などに入所させる措置がほとんど増えていない現象である。保護されていない子どもが多数いるのになぜ、という議会からの疑問に、子ども・福祉部は「家庭分離が必要でも保護者の同意が得られない場合は、家庭裁判所に申し立てるなどして対応している」

▼権限がないから強制的に家庭分離はできないとかつては答えていたが、権限が付与されると、例え必要でも家裁の同意を待ってと言うのだ。どこまでいっても、虐待児童は救われない

▼「虐待の再発などがあれば、しっかりと対応している」。2度起きて、どこからも文句がでない状況になれば、しっかり対応するのである。