伊勢新聞

木造電車の屋根張り替え準備に汗 北勢線車両展示、いなべの市民グループ 三重

【屋根に上がってヘッドライトを外す作業に取り組む安藤会長(右から2人目)ら=いなべ市北勢町阿下喜の軽便鉄道博物館で】

【いなべ】三岐鉄道北勢線阿下喜駅の横にある軽便鉄道博物館(三重県いなべ市北勢町阿下喜)で、展示保存している「モニ220型226号」。北勢線が全線開通した昭和6年から半世紀にわたって活躍した木造電車だ。2年ほど前から雨漏りに悩まされ、屋根を張り替えることになった。「自分たちでできることは自分たちの手で」―。同市の市民グループ「北勢線とまち育みを考える会(ASITA)」のメンバーが、張り替え前の準備作業に汗を流している。

226号は北勢線の全線開通に合わせて製作され、昭和58年まで北勢線や四日市市の近鉄内部・八王子線(現四日市あすなろう鉄道)を走った。廃車後は同市のスポーツランドで保存されていたが、平成19年にいなべ市が譲り受け、同館に移設された。その際、ASITAが4年がかりで車両の修復作業を手がけ、ボランティアで管理もしている。

作業は今月中旬から始め、足場を組んだ。晴天に恵まれた19日も急きょ作業をすることに。メンバー4人が、パンタグラフを外すための準備に取りかかった。炎天下、屋根に上がってヘッドライトを外したり、車内の天井部分や、つり革がぶら下がる棒も取り外した。

作業の指揮を執るのは、大橋透副会長(78)。元近畿日本鉄道社員で、現役時代は車両の検査、修理に携わってきた。屋根の張り替えは業者に依頼し、秋ごろに修理を終える予定という。

同館は毎月第1、3日曜に開館する。226号をはじめ、手作りの模型や写真などの貴重な資料を見ることができ、ミニ電車も走らせている。開館日には226号も公開していたが、しばらくの間、中に入ることはできない。この日も226号を一目見ようとやって来て、作業の様子を撮影している人もいた。

安藤たみよ会長(62)は「修理が完了したら電車(226号)を見に、北勢線に乗って遊び来てほしい」と話した。