伊勢新聞

松阪の本居宣長ノ宮再興へ クラウドファンディング開始 三重

【クラウドファンディングへの協力を呼びかける植松宮司(左)と山近事務局長】

【松阪】本居宣長を祭る三重県松阪市殿町の本居宣長ノ宮(植松有麻呂宮司)はこのほど、「本居宣長ノ宮再興プロジェクト」クラウドファンディングの募集を始めた。老朽化が著しい本居会館の修繕費用に充てる。8月15日まで。

本居宣長ノ宮の前身は明治8年、同市山室町の「本居宣長奥墓(おくつき)」近くに創建された山室山神社。大正4年に現在地へ移った。収益事業として開設した結婚式場が軌道に乗り、昭和60年に披露宴会場として本居会館を新築した。だが、専門の結婚式場やホテルに押され、20数年前から結婚式は開かず、氏子組織がないため運営が難しくなっていた。

会員制オンライン研修「NIHONDO(日本道)」(東京都豊島区)の山近義幸社長が存続の危機を知り、支援に乗り出した。同宮の事務局長に就き、昨年から本居会館の修繕作業を進めている。今年2月に開いた第1回本居宣長ノ宮表彰式を皮切りに定期的な顕彰活動を進め、同時に同宮奉賛会への加入を呼びかけている。

クラウドファンディングは返礼品を用意。宣長の和歌「しき嶋のやまとごゝろを人とはゞ朝日にゝほふ山ざくら花」を有松宮司が書いた御朱印(5千円)をはじめ、巫女(みこ)・神職体験、一日宮司同行体験、本居会館の利用権・部屋命名権(ネーミングライツ)など寄付額に応じて設定している。

目標金額158万円に対し、今月19日現在38万1250円が集まっている。

植松宮司は、宣長の主著「古事記伝」の出版に関わった宣長門下の版木師、植松有信の子孫。「宣長ファン、崇敬者は多く、全国にわたる。宣長ノ宮をなくしてしまうことはできない」と語る。

山近氏は「この活動は過去を守るだけではなく、未来を創るアクション」と支援を呼びかける。

申し込みはウェブの「本居宣長ノ宮再興プロジェクト」から。