2024年6月19日(水)

▼桑名市長島町の遊園地「ナガシマスパーランド」で17日、回転式の大型空中ブランコの安全装置が作動し、乗客6人が地上40メートルの付近で約7分間、宙づり状態になった。平成24年に登場して以来、26年と令和5年に続き3度目だが、運営する長島観光開発は安全装置作動の理由は分からず、閉園後に調べるという

▼遊具の安全性は特に厳格さが求められる。12年間で3回の発生はいささか多過ぎないか。小学校低学年の時、博覧会の縦回転の遊具に勇んで乗り込んで恐怖に震え上がり、以後機械式遊具には乗ったことがないので宙づりの恐怖はよく分からないが、ナガシマスパーランドの事故で恐怖を体感したのは、走行中のジェットコースターの車輪88個のうち44個が落下し、乗客一人とプールサイドの客一人が重傷を負った平成15年の事故だ

▼走行中の追突で40人強の負傷者を出したこともあったというが、空から車輪が降ってくるとは、想像するだけで恐ろしい。人間は恐怖をも楽しむ動物と言われるが、冒険と安全な恐怖とはむろん厳格に分けられるものだろう

▼知床遊覧船事故の例を持ち出すまでもなく、後者は運営する側の責任が問われる。同社のジェットコースターも昨年、23人を乗せて走行中に約10分間緊急停止している。安全装置が働いたからよかった、で済まされる問題ではあるまい。ことなきを得た小さな事故に大事故の前触れが隠れているともいわれる。乗客に恐怖を与えたことは、すでに一定の境界を越えている

▼県を代表するテーマパークである。より向上を願う。