三重県議会は18日、政策企画雇用経済観光、環境生活農林水産、教育警察の常任委員会を開いた。環境生活部は「性暴力の根絶をめざす条例」(仮称)を、来年9月の県議会に提出する方針を示した。条例制定の検討に当たって意見を聴取するため、性暴力の対策などに詳しい関係者らでつくる「検討懇話会」を今月3日付で立ち上げたことも明らかにした。
「検討懇話会」を立ち上げ
〈環境生活農林水産=廣耕太郎委員長(8人)〉
県によると、懇話会は弁護士や大学教授、医療・教育関係者に加え、被害者団体の代表など14人の委員で構成。19日の初会合を皮切りに、来年5月まで計5回にわたって開く。
懇話会では、条例の目的や関係機関の役割、被害防止や被害者支援、再発防止策などが主な論点となる。子どもへの性犯罪で服役した人に住所の届け出を義務付けることも検討する。
県は懇話会での検討結果などを踏まえ、年内にも条例の骨子案、来年3月には中間案を示す。パブリックコメント(意見公募)などを経て、来年6月にも最終案を策定する方針。
同条例は、一見勝之知事が昨年9月の県議会一般質問で制定を表明していた。同様の条例は福岡県と茨城県が既に制定。大阪府も「子どもを性犯罪から守る条例」を制定している。
精神神経系の疾患で休職95人 令和4年度中公立学校の教員、14人増
〈教育警察=喜田健児委員長(8人)〉
県教委は令和4年度中に精神神経系の疾患で休職した公立学校の教員が95人に上ったことを明らかにした。前年度から14人の増加。少なくとも直近の5年では最多となった。
県教委によると、4年度中に病気で休職した教員に占める精神神経系疾患の比率は、76%に上った。前年度と比べて4・4ポイントの上昇。同じく直近の5年では最も高い比率となった。
県教委は、教員の長時間勤務に加え、地域や保護者への対応に苦慮していることなどが理由と見立てる。メンタルヘルスに関する教員向けの相談窓口を周知するなどして対応する方針。
また、県教委は公立学校で休暇を取得した教員の代わりとなる教員を確保できない「不足」が、今月1日時点で31人に上ると報告。うち19人分は、病気休暇の取得が理由という。
「宿泊税」負担などを考慮 県、事業者などに意見聞き検討
〈政策企画雇用経済観光=石垣智矢委員長(8人)〉
ホテルなどの宿泊客から自治体が徴収し、観光振興の財源とする「宿泊税」について、観光部は宿泊者や事業者の負担などを考慮しながら導入の是非を検討する考えを示した。
県によると、宿泊税は東京、大阪、福岡の3都府県のほか、京都市や金沢市などの6市町が既に導入。県内では伊勢、鳥羽、志摩、伊賀の4市が導入を検討する方針を示している。
県は先月から、市町や観光事業者の担当者を対象にセミナーを開催。観光政策などに詳しい有識者が導入の効果などを解説している。これまでに4回開き、延べ377人が参加した。
税額は自治体によって異なり、1泊につき100―1000円。宿泊料金の定率で徴収する自治体もある。県は「市町や観光事業者の意見を聞きながら、宿泊税の実施について検討する」としている。