<まる見えリポート>バレー男子の強豪と異例の提携 V3女子のヴィアティン三重、指導体制見直しに活路

【V3女子最終戦・カノアラウレアーズ福岡戦に敗れ2023―24シーズンを未勝利で終えたヴィアティン三重。1千人を集める根強い人気を誇るが結果が結びつかなかった=2月、AGF鈴鹿体育館で】

三重県津市拠点の女子バレーボールチーム、ヴィアティン三重が14日、愛知県稲沢市が拠点の男子バレーボールチーム、ウルフドッグス名古屋と技術指導契約を結んだ。国内最高峰のVリーグ1部(V1)男子で優勝経験のある強豪。その一方で女子三重県勢で唯一Vリーグに参戦するヴィアティン三重は2023―24シーズンのVリーグ3部(V3)を全敗の最下位で終えた。バレー界で例が無いと言われるVリーグチーム同士の提携には指導体制の見直しから活路を見いだそうとするヴィアティン三重の戦略があった。

契約期間は当面1年で、女子V3の24―25シーズンの終わる来年春ごろまで、ウルフドッグス名古屋のチームスタッフを派遣してもらい、選手育成やチーム強化につなげる。既に今月からヴィアティン三重のトレーニングに参加してもらう予定という。

ウルフドッグス名古屋は1998年のVリーグ参入後、実績のある外国人監督を登用するなどして強化を進め2022―23シーズンのV1男子優勝などの実績を挙げている。地域に根差した活動にも力を入れ、競技の普及・振興に向けた活動も積極的に取り組んでいる。

ヴィアティン三重の椎葉誠常務取締役によるとこうしたウルフドッグス名古屋の実績に加え、両チームに共通のスポンサーがいることなどから、連携締結が実現したという。ウルフドッグス名古屋独自のバレーボールスキルやトレーニング方法などを学び、チームの強化につなげたい考えだ。

SNS(交流サイト)を使った高い発信力で知られる勝岡将斗選手(23―24シーズン後に退団し育成世代のコーチに転身)ら知名度の高い選手・スタッフも多く選手たちも歓迎しているという。

ヴィアティン三重女子チームは、現在V2所属の男子チームに続いて2020年に設立、21年にVリーグのライセンスを取得した。参入1年目の特例措置でV2に参戦した22―23シーズンは最下位ながら3勝を挙げたが、V3に参戦した昨シーズンは、リーグ初参入初優勝の倉敷アブレイズを始め新規参入組の勢いに押され、白星を挙げることができなかった。

巻き返しに向けて、指導体制の充実にかじを切る。V1名古屋との連携に加えて、21年からチームの指揮を執る西田誠氏と新たに専任監督契約を締結。県内バレー界初のプロ監督となる西田氏の勤務先として、練習拠点のある津市に新事務所を開設し、練習に専念できる環境を整えた。

「大砲を獲得しても、選手が移籍してしまえばチームに何も残らない。指導方法は遺産として残る」と話す椎葉氏は「遠回りに見えるがヴィアティンの取り組みを良いと思ってもらえる選手が来てくれる仕組みをつくりたい。それが三重のバレー全体のレベルを上げることにつながる」と話している。