▼公立学校の教員が土地取引を巡る差別事案で知事から差別解消条例に基づく初の「説示」を受けた問題で、福永和伸県教育長は県議会で所感を問われ「痛恨の極み。人権問題への認識を深める取り組みが十分でなかった」
▼ご明察。もっとも「十分でなかった」にもピンからキリまである。「部落差別の解消に向けた動画やリーフレットを教職員に配布する。研修の内容を精査し、充実させる」という今後の対応からは過去、現在の取り組みは分からない。今後の対応との違いも分からないということだろう
▼公教員の土地を巡る差別事件としては平成11年の自治会分離事件がある。最高裁まで争って県教委が敗訴した。県立高校校長が自殺したのも事件絡みなどと取りざたされたが、先日教職員が中心の人権関係団体の会合で、この事件を知っている参加者はほとんどいなかった
▼自治会分離運動をリードした高校教諭が「お嬢さんの将来に良いですしね」などと発言したことが差別発言として大問題になったのだが、今回は、購入した土地が旧被差別部落にあるとして、公立学校の教員が業者に契約の解除を要求。業者は応じたが、教員は業者を非難し続けたという。態様がより悪びれなくなっている感じがしたが、なるほどと思われる
▼県などが実施した部落差別関連調査では県職員、教職員の差別意識が高い。一見勝之知事もこれまでの対応についての問いはスルーしたようだが、目指す姿について「知事名で差別解消の通知を出す」
▼「知事名」の重みを信じてはいるようだ。