▼国民スポーツ大会(旧国民体育大会)の見直しを求める要望書を文部科学省と日本スポーツ協会に提出した7県の一つ、三重県の一見勝之知事がオンラインで臨んだ記者会見は、写真で見る限りだが、なかなか神妙な表情に見えた。緊張していたか、それとも自信がなかったか
▼村井嘉浩全国知事会長が国スポの廃止を求めない考えを示したことについては、会見後の取材に「必ずしも廃止しなければならないわけではない。うなずける」。大会の開催県が天皇杯を目指す慣例については「必ずしも1位を取る必要はないのでは」。廃止か存続か、順位はどうあらねばならないか、必ずしも確固たる考えがありそうではない
▼「県民から絶対に一位を取らなければならないという声はあまり聞かない」という表現も曖昧さを別にして、スポーツの効用について考えさせられる。レスリング女子の吉田沙保里さんや土性沙羅さん、マラソン女子の野口みずきさんら五輪金メダリストが少年少女に力を与え、県民を沸かせて、勇気づけた意義ははかりしれない
▼2種目だけのことではないのは周知の通り。「必ずしも1位でなくとも」というスタンスで実現できることかどうか。天皇賞を獲得するための首をかしげたくなる手段はともかくとして、最下位を低迷していた旧国体時代のままでよいということにはなるまい
▼国スポを見直すに当たり、自治体の財政負担問題だけでなく、県民スポーツをどう推進していくかについてもこの際、リーダーである知事の確固たる意見、抱負を聞きたい。