【志摩】三重県にある志摩市消防本部の消防士、丸山莉奈さん(32)が、5月30日に大阪府で開かれた「全国消防職員意見発表会」(全国消防長会主催)で、けが人や急病人が発生した時に居合わせた聴覚障害者が自信を持って救命活動ができるよう、カードを使って周りの人と意思疎通を図ることができる仕組みを提案し、最優秀賞に輝いた。
同発表会は全国9支部から選抜された職員10人が、職務を通じての体験、業務に対する提言や取り組むべき課題などについて発表し、消防業務に関する知識の研さんや意識高揚を図ることを目的に毎年開いている。
奈良県宇陀市出身で、救急救命士の資格を持つ丸山さんは現在、警防・救急係などを担当。意見発表会への出場は初めてで、聴覚障害者の知人から「自分も人助けがしたい」という思いを聞いたことや、聴覚障害者向けの救命講習が少ないという現状を課題として捉え、緊急時に現場に居合わせた人が障害のあるなしにかかわらず、協力して対応できる方法を考えた。
丸山さんが提案した「2次元コード付の救命メソッドカード」は、「救急車を呼んでください」「耳が不自由なので協力してください」といった文章や絵を掲載。裏面に50音表を記載し、聴覚障害者と周りの人が円滑に意思疎通ができるようにした。カード上の2次元コードを読み取ると字幕付きで心肺蘇生法の動画が再生できるという。
4月に県と東海支部の意見発表会に出場し、それぞれ最優秀賞を獲得。全国意見発表会でも、県内の消防職員で初めてとなる最優秀賞を受賞した。今後はプロジェクトチームをつくり、提案したカードを実用化するために準備を進めていく。
丸山さんは「いろんな人が助けてくれて賞を頂けたので感謝している。早く実用化して困っている人の手元に届けたい」と話した。