伊勢新聞

2024年6月11日(火)

▼日本におけるインターンシップは学生に就業体験をさせることで社会経験を積ませ、就職本番でのミスマッチを防ぐなどの目的があるとされるが、県議会の場合はさらに目算があるようだ。公共政策を学ぶ大学院生を対象に募集し、2週間ほどの日程で議会事務局の業務を学ぶほか、議員らと対話し、実習後は議員への意見発表に臨む

▼平成21年から実施して、これまで20人受け入れたというから、1年につき1・3人ほど。多いか少ないか知らぬが、稲垣昭義議長が今年から謝金を支払うことを明らかにした。謝礼金の略か。実務を教えて謝金を払うというのもずいぶんおかしな気がするが、やはり学生の負担を軽くする狙いで県営住宅の活用を検討する声もあったという。人気はなかったのかもしれない

▼議会事務局の仕事が人気があろうがなかろうが、どっちでもいいじゃないかという意見もあろうが、議員としてはそうは言っていられないのかもしれない。議会活動が正しく県民に伝わっているか。せめて公共政策を学ぶ大学院生が議会の実務を争って学ぼうとしてくれる状況にあることは好ましい

▼「改革を進める県議会として、若い視点からの提言に期待している」と稲垣議長。改革県議会を目指そうにも、有識者会議答申はお蔵入りの気配だし、出前講座は混乱ぶりを露呈し、仕切り直し。県議会の仕組みや役割の基礎知識を理解した上での提言にまずは期待してということかもしれない。1日あたり3700円、上限3万7千円というのはいささか安い気はする。