伊勢新聞

「やねせん」編集後記を一冊に 伊勢の月兎舎、NAGI終刊記念で 三重

【「谷根千の編集後記」を示す吉川氏(左)と「谷中・根津・千駄木」を持つ山﨑氏】

【伊勢】三重県伊勢市馬瀬町の出版社「月兎舎」はこのほど、「谷根千(やねせん)の編集後記」(税別1600円)を発刊した。四六判、256ページ。季刊地域誌「谷中・根津・千駄木(通称やねせん)」の編集後記を全て収録している。

同誌は森まゆみ、山﨑範子、仰木ひろみの3氏が昭和59年に創刊。東京都文京、台東両区の下町の歴史文化を取り上げ、平成21年まで25年間に94号を出した。

山﨑氏(66)は別の雑誌の取材で多気町の相可高校を訪れた際、立ち寄った松阪市の御城番屋敷が気に入り、そこへ昨年5月に移住した。

月兎舎は季刊誌「NAGI」を刊行し、来年の100号で終刊する。発行人の吉川和之氏(62)が86号の編集後記で「やねせん」に触れたところ、読者から全号を寄贈され、その編集後記を通して読んだところ面白く、知り合った山﨑さんの勧めもあり、NAGI終刊記念として刊行を決めた。

「谷根千の編集後記」は全94号の編集後記を載せ、3氏が新たに「15年後の編集後記」を執筆した。山﨑さんは「町に育ててもらうという希有(けう)な環境を与えられたことが誇らしい」と書いている。山﨑、吉川両氏の対談も掲載している。

吉川氏は「子どもを産み育てながら取材・編集・営業に奔走する姿、地域と編集者の濃密な関係がリアルに伝わってきて、ぜひ多くの人に読んでもらいたいと思った」と語る。

県内主要書店で販売。月兎舎のホームページやウェブ書店からも購入できる。