伊勢市が議決を経ずに工事の委託契約を三重県と結んでいた問題を受け、県議会は6日、この契約に関連する議案の委員会付託を見送った。これにより、常任委員会での議案審査が当初の予定よりも遅れる見通し。本会議での採決がずれ込む可能性もある。
問題を巡っては、伊勢市は宮川橋の架け替え工事を約86億円で県に委託する契約を県と結んでいるが、条例などで定める市議会の議決を得なかったことが今月3日に判明した。
県議会が委員会付託を見送ったのは、この契約に基づいて県が建設会社に発注した工事の一部について、契約金額を変更する議案。賃金の上昇に伴い、契約金額を約370万円引き上げる。
県は3日、この議案を県議会に提出。県議会は6日の本会議で防災県土整備企業常任委員会(中瀬信之委員長、7人)に議案の審査を付託し、28日の本会議で採決する予定だった。
この日、本会議の直前に開かれた議会運営委員会で、若尾将徳県土整備部長が市の状況を報告。防災県土整備企業常任委が開かれる21日までに、市議会の議決が間に合わないと説明した。
田中智也委員長は「議案の前提となる市議会の議決を注視する必要がある」などと述べ、委員会への付託を見送ることで委員らの了承を得た。この議案に対する本会議での質疑も見送った。
田中委員長は委員会後の取材に「伊勢市で問題が起きている以上、県議会が先に議案を通してしまうのはどうかとの思いで付託を見送ることにした。市議会の議決を見守りたい」と語った。
市は月内にも、契約への追認を求める議案を市議会に提出する見通し。宮川橋では、既に橋脚の一部が完成している。県土整備部は「県議会の議決が遅れても工事に影響はない」としている。