伊勢新聞

2024年6月7日(金)

▼「有識者会議はあまり好きじゃない」と一見勝之知事が発言したのは昨年3月の県議会予決常任委だった。県立大の設置問題で前・現県政がそれぞれ有識者会議を設置して正反対の結論を導き、常任委から知事は有識者会議好きなどと言われたりした

▼谷川孝栄県議から「失礼のないように」と諭されたこともあって、専門家の知見を踏まえて施策を決めるために必要だとも語った。好き嫌いはともかく、必要性は十分享受してきた。県立大問題では前県政が創立に大きく前進させたのに対し、現県政は有識者会議の真逆の答申でその流れを遮断した

▼日本スポーツ協会が国民スポーツ大会の将来像を議論する有識者会議を設置することについて、一見知事は「歓迎」。これは好きか嫌いか。ともあれ、またも政策の岐路に立っていた。とこわか国体・大会の中止を決断したとはいえ「二巡目を開催しなかった唯一の県になるのは耐えられない」など言って国スポ開催を推進した

▼令和17年開催を発表するまでそのことにいささかの迷いも見られない。雲行きが怪しくなってきたのは、発表から数日後、岡本栄伊賀市長が「県民が納得した上で準備すべき」発言してから。了解を得ていると職員から報告を受けていただけに戸惑い、市町長アンケートで異論が多いことも分かった

▼全国知事会会長の「廃止」発言で全国を巻き込む議論となった。一見知事も遅ればせながら見直し論に言及した。日スポ協会の有識者会議は、結論によってはスムーズに軸足を移すための渡りに船となる。