【いなべ】三重県いなべ市の市民グループ「北勢線とまち育みを考える会(ASITA)」(安藤たみよ会長)はこのほど、同市北勢町阿下喜の阿下喜会館で地域の公共交通とまちづくりを考える14回目の勉強会を開いた。毎回テーマを変えて、三岐鉄道北勢線の今後のあり方や地域のまちづくりについて、参加者同士が意見を交わしている。今回は北勢線活性化に向けた取り組みや目標などを示した「北勢線活性化基本計画」を市民の目で見直してみた。
赤字続きで廃線の危機にあった北勢線は、平成15年に近鉄から三岐鉄道に運営移管され、再スタートを切った。講師の近畿日本鉄道元社員の原文人さん(62)は当時策定された基本計画の中身を「先進的だった」と評価する一方で、年間の輸送人員や収支を黒字化する時期など10年間の活動において掲げた目標は「いずれも達成できなかった」と説明。「いったん区切りをつけて、新たな目標を掲げてみてはどうか」と提案した。
市民や沿線自治体の議員など約30人が参加。「コミュニティバスとの接続を良くして乗客を増やす」「赤字の解消は難しい。自治体の支援継続が必要」「運転士や駅員の人員不足はないか」「北勢線の狭い車両のちょうどいい距離感を生かして、街コンを開いてみてはどうか」など、参加者からの意見や質問は途切れることなく続いた。
原さんは「こうして集まって、意見やアイデアを出し合うことは大切なこと。皆さんが自分ごととして捉え、その考えや思いを行政などにも伝えていってほしい」と話した。